2024年12月1日
ホームページのCVRを上げるための方法
Webマーケティングにおける最重要指標の1つがCVRです。CVRを高めれば同じような商品・サービスで同じような手法を販売しても収益性が高まるので、競合より有利にビジネスができます。本コンテンツではホームページのCVRを上げるための方法について説明します。
CVRを改善するメリット
他の前提条件が同じであれば、CVRは高ければ高い方が良いです。CVRを上げることによって得られる3つのメリットについて説明します。
Webマーケティングの収益力が向上する
CVRを改善する第一の理由はWebマーケティングの収益力を向上することにあります。
Webマーケティングにおいて広告コストは高くなりがちです。特にECのように全国商圏で勝負をするビジネスの場合は競合との広告合戦を勝ち抜いて成約を獲得するので広告費の過当競争になりがちで、広告費を掛けた結果売上は上がったけど営業利益が出ないといったケースも発生しがちです。
こういった事態を防ぐためにはCVRを向上させWebマーケティングのコストパフォーマンスを高める必要があります。
ユーザー満足度が向上する
CVRとユーザー満足度は比例する傾向にあります。すなわちCVRが高いということは、ユーザーが欲しい情報に到達できている、コンバージョン(資料請求や商品内容といったWebサイト上でのオファー内容)とターゲットがマッチしているということなので、顧客満足度も基本的には高いと考えて大丈夫です。
ユーザー満足度を測る指標としてはNPS調査を代表としてさまざまな指標が存在しますが、CVRを使えばわざわざ調査に費用をかけずにある程度正確に顧客満足度を推測できます。
そして顧客満足度の向上はLTVをはじめとしたさまざまな指標に良い影響を与えると考えられます。
競合優位性を獲得できる
CVRが高いということは、広告の投資パフォーマンスや顧客満足度が高まるので競合優位性を獲得することにもつながります。とくにWeb上で価格競争が激しい商材を扱っている場合は一番安い価格に注文が集中するのが一般的ですが、CVRが高い企業ほど広告コストが安くなるので価格を下げつつ利益を残せる競争力の高い企業体質を作れます。
CVRを高めて競合優位性を持つことにより、価格競争だけではなく、新商品や事業の拡大、新たな市場の開拓などさまざまな選択肢が生まれます。
CVRを上げるための3ステップ
次の3ステップで現状を分析し、対策立案、改善作業を繰り返していけばCVRを向上できます。CVR向上のための3ステップについて説明します。
現状のCVRを分析する
CVR向上のPDCAを円滑に回すためには現状のCVRを分析する必要があります。ただし、CVRをチェックしているだけでは、どこにCVR向上のチャンスがあるのかは発見できないので、アクセス数やホームページ内でユーザーがどのように遷移しているか、Web広告からの集客状況といった情報は必要となります。アクセス解析ツールの導入は必須ですし、必要に応じて広告ツールやCRMのデータも連携させる必要があります。
必要なデータが揃えばその分析を行いますが、分析を行う前提として、「こうやったらCVRが向上するのではないか」といった仮説は持つべきです。
たとえば、CVRを向上させるためにWebサイト内で極端に離脱率が高いページが存在するのではないかといった仮説を持つのであれば、ページごとの離脱率を確認して高いページを発見するべきです。他にもホームページの読み込み速度が遅いことが全体の離脱率を上げる要因になっているのではないかという仮説があるのであればページごとの読み込み速度を分析すべきです。
このように仮説がないとデータを収集しても役に立たないので、仮説を前提としたデータ収集・分析を行ってください。具体的なチェックポイントについては次章で7つ紹介します。
CVR向上のために課題検討・解決策を立案する
CVR向上のチャンスをデータから発見できれば、どのような課題によりCVRは最大化できていないのか、それを解決するためにはどうすれば良いのかについて検討します。
たとえば、(課題)特定のキーワード経由でLPに集客した場合のCVRが低く、改善したいのであれば(解決策)そのキーワード広告を削除したり、そのキーワード専用にLPを制作したりするといった方法が考えられます。
他にも、(課題)1人あたり平均PV数が低く回遊性を高める必要があるのであれば、(解決策)ページ内のコンテンツ同士のリンクについて見直して関連コンテンツを閲覧しやすい構成にすべきです。
また、課題によってはホームページにWeb接客ツールやMAを導入するといった解決策も考えられます。このようにCVR向上のために何がボトルネックになっているかどうすれば解決するかを検討してください。
実装して成果を分析する
解決策が出ればそれを実装して成果を分析します。実装して成果を分析するまでが一セットです。たとえば、CVRを向上させるためには資料請求のボタンの色を赤から緑に変えた方が良いといった解決策を立案して、実際にボタンを緑色に変更したとして、実際のCVRが向上するとは限りません。かえって悪化する可能性もあります。
立案した解決策が必ずしも正しいとは限らないので、成果をもとに案の善し悪しを検証、次の改善に役立てる必要があります。解析ツールを使えば定量的に効果を分析できます。
見直したい7つのCVR向上ポイント
上記3ステップが一般的なCVR向上PDCAを回すための手法ですが、具体的には次の7つのポイントを見直すべきです。CVR向上のためにチェックしたい7つのポイントについて説明します。
エントリーフォーム落ち、カゴ落ちが多くないか
ホームページにユーザーがやってきて、ホームページ内を回遊して最終的にコンバージョンに到達しますが、この一連の流れの中で、エントリーフォーム落ち、かご落ちがどの位発生しているかは、第一にチェックすべきポイントです。
エントリーフォーム落ちとはエントリーフォーム(お問い合わせフォーム)に名前や内容など必要事項を途中まで入力していたが途中でやめた方、エントリーフォームにはたどり着いたが入力せずに離脱した方などを指します。カゴ落ちとは通販サイトなどで商品をカートに入れたもののそこから手続きをしないことを指します。
こういったエントリーフォーム落ち、カゴ落ちを少なくするためには、UI/UXの見直しが必要です。入力項目に無駄な項目が含まれていたり、決済手段が少なかったりするとカゴ落ち率は増加します。都度ホームページ制作会社に修正を依頼しても良いですし、カートシステムやEFOツール(エントリーフォーム最適化ツール)を導入すればこういったカゴやエントリーフォームでのCVR率を向上させられます。
コンバージョン手前のページの作り込みが甘くないか
ホームページにやってきたユーザーはさまざまなWebページを遷移してコンバージョンに至りますが、それらのページの中でもコンバージョン手前のページの作り込みは重要です。具体的には通販サイトではあれば商品ページ、資料請求やメルマガ登録などを促すマーケティングサイトであれば、資料請求やメルマガ登録のメリットを訴求するページです。
多くのホームページでは、コンバージョンに至るまでにこのコンバージョン手前のページをユーザーが通過しますし、このページでコンバージョンの訴求をするので、訴求力が十分でないとCVRが大きく低下します。
作り込みに関する具体的な方法はコンバージョンの内容によっても異なりますが以下のポイントについてはチェックしてください。
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商品・サービスなどの内容を十分魅力的に伝えられているか
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ユーザーが事前に思っていそうな不安を解消できているか
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提案のハードルは充分に低いか
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何をすれば良いのかユーザーに端的に伝えられているか
ホームページ内の回遊性は確保できているか
ホームページ内の回遊性もCVRに影響を与えます。たとえば、購入して欲しい商品のページや資料請求のページにユーザーがたどり着きにくい構成であれば当然CVRは上がります。ホームページ内を必要なページに移動しやすいように設計されているか確認してください。
具体的には関連するコンテンツ同士にきちんとリンクを設定できているか、そのリンクはユーザーにとって明確に認識できるか、回遊しているページ内に品質の低いコンテンツが混じっていないかといったことをチェックします。
ユーザーにとって快適なUI/UXになっているか
ユーザーにとって快適なUI/UXを提供することも重要です。たとえば、CVRに重要なのがページの読み込み速度です。ページの読み込みが3秒を超えると53%のユーザーが離脱するという報告もあります。もちろん、ユーザーが離脱するとCVRは低下するので、画像や動画ファイルサイズを削減したり、ソースコードを整理したりすることにより読み込み速度を向上させる必要があります。
また、古いホームページではパソコンでの閲覧を想定している、スマートフォンで閲覧したときに見にくいホームページになっている場合も存在します。現代のアクセスのほとんどはスマホ経由なので、こういった場合はホームページの改修が必要です。
さらに、情報量の多いホームページの場合はWeb接客ツールを導入して、ユーザーが必要な情報にチャット経由でたどり着けるようにすることもあります。
ターゲットと集客施策がずれていないか
CVRを最大化するためにはホームページの閲覧を想定しているユーザー像と、集客施策を使って集めるユーザーが一致する必要があります。
集客施策をホームページに合わせるのであれば、CVRの低い広告(媒体、キーワードなど)への出稿は辞めて他の広告へ予算を振り分けたり、広告文やバナーの調整を行ったりします。
ホームページを集客施策に合わせるのであれば、実際に集客できているユーザー向けの新しいコンテンツ、LPを作成したり、回遊パターンを考えたりといった必要があります。
そもそも十分なアクセス数を確保できているか
CVR改善のPDCAを回す際にとくに注意すべきなのが、そもそもアクセス数を確保できているかといった点です。たとえば、同じ期間で①5アクセスで1コンバージョンと②1000アクセスで4コンバージョンとでは一概にどちらが優れているかは判断できません。①は5アクセスあっただけなので、たまたま1コンバージョンしただけで、同じように1000アクセスすると3コンバージョン程度になるかもしれないからです。
このようにアクセス数が少なすぎると、改善施策の前提となるCVRの評価自体がぶれてしまうかもしれないので、ある程度CVRの精度が高いと思われるアクセス数になるまで集客を行ったうえでホームページの改善を行ってください。
コンバージョンの設定は適切なのか
コンバージョンの設定が適切なのかも、CVRを向上させるために必要なチェックポイントです。たとえば、住宅会社がWeb集客をする場合、Webサイト上のコンバージョンは通販サイトのように商品の購入ではなく、資料請求や住宅展示場の見学になるはずです。
この他にもユーザーにメールマガジンを登録してもらうのではなくLINEを登録してもらった方がその後の成約率が高まるケースも存在するかもしれません。
このように何を持って「コンバージョン」とするのかによってもCVRは変化します。ホームページの作り込みだけではなく、そもそも何を持ってコンバージョンとするのが適切なのかもCVR向上のために検討してください。
CVRは高ければ高い方が良いのか?
前提条件が同じであればCVRは高ければ高い方が良いですが、状況によってはCVRをあえて下げることが適切な場合もあります。収益を最大化させるためにCVRについてどのように考えれば良いのかについて説明します。
Webマーケティングに収益を計算する式
Webマーケティンの収益は次の計算で算出できます。そしてその要素の1つとしてCVRが存在します。
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収益=(1件当たり売上―1件当たり売上原価―1件当たり広告コスト)×成約件数
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1件当たり広告コスト(CPC)=ユーザー一人を集客するコスト(CPA)×コンバージョン率(CVR)
ただし、CVRだけが収益を与える指標ではないので、これらの指標のバランスの中で適切なCVRを考える必要があります。
CVRと連動する指標
これらの指標の中でCVRと連動しやすい指標が「ユーザー一人当たりを集客する広告コスト(CPC)」と「成約件数」です。
昔から存在するオーソドックスなWeb広告としてリスティング広告が存在しますが、基本的にはクリック単価が高いキーワードほどCVRも高くなる傾向があるので、CVRを高めようとした結果、1件あたりの広告コストは上がってしまうといった事態が発生しがちです。
また、CVRを高めるためにCVRの低い集客施策をカットすると、成約件数自体も低くなるので、結果として必要としていた収益は得られなくなって、かえって営業利益が低下するといったケースも考えられます。
このようにCVRは他の指標と連動しているので、CVRにこだわるのではなく全体最適にこだわる必要があります。
同じ集客施策を前提としてCVRを高める
CVR単一の指標にこだわるのではなく、全体最適を考えなければならないのは確かですが、CVRを高める活動は重要です。CVRを高める活動は「同じ集客施策を用いる前提」で実施することがポイントです。集客施策が同じでCVRが上がれば「ユーザー一人当たりを集客する広告コスト」は必ず低下し「成約件数」も必ず増加するからです。
具体的なCVRを高める活動としてA/Bテストがあげられます。Webマーケティングにおける原理原則は存在するものの、極端な例ではボタンの色を赤にするのか青にするのかといった微妙な違いでもCVRは大きく変化することはあります。そしてCVRを最大化する最適なデザインを理論だけで構築するのは不可能です。
A/Bテストを繰り返して、同じような集客をして、CVRを代表とするさまざまな結果指標をもとにユーザーの反応を見ながら、少しずつCVRの高いホームページを作る必要があります。
CVR改善には商品・サービスの見直しも必要
ちなみに、CVRに一番大きな影響を与える要素は商品・サービス自体だったりします。たとえば、型番商品(家電のようにJANコードがついた価格比較がしやすい商品)のECでは価格がCVRに重要な影響を与えるので、きちんと利益が出るのであればA/Bテストをしてコツコツホームページを最適化するよりも値下げしてしまった方が早いといったケースも存在します。
このように、提供するのがどのような商品・サービスなのか、それが競合と比較してどのような優位性があるのかによってもCVRは変化します。
なかなか成果が出ない、一気に成果を大きく上げたい場合はそもそもこの商品は他社の商品と比較してCVRが取れる商品なのかを検討してください。
ホームページのCVRを上げるためには地道な取り組みが必要
以上のようにホームページのCVRのあげ方について説明しましたが、CVRを上げるためにはA/Bテストを中心とした細かな変化、日々のPDCAを積み重ねる必要があります。
CVRを上げるための基本的なチェックポイントについては本コンテンツのとおりですが、最適化させるためにはぜひ試行錯誤して最適なWebマーケティング・ホームページを発見してください。
ちなみにCVRに大きな影響を与える要素の1つがバナーです。バナーのできによってそのバナーのクリック率、ひいてはWebページ間の遷移率は大きく変化するので、ユーザーがクリックしたくなるバナー作りが求められます。
Sales Bannerを使えば、バナーを簡単に一定以上のクオリティで作成できるだけではなく、作成したバナーをシステムに保存でき、ボタン一つでホームページ上のバナーの入れ替えができます。さまざまなタイプのバナーを設置でき、エンジニアでなくても簡単に使用できるので、ホームページのCVRを向上させたい方はぜひ使用してみてください。