2024年9月15日
コンバージョン率最適化(CRO)とは?
CROとは「Conversion Rate Optimization」の頭文字を取った略称で日本語に変換するとコンバージョン率最適化と呼ばれます。近年Webマーケティングに関する仕事も分業化が進んでいることから、Webマーケティングの全体最適を図るために注目を集めています。
本コンテンツではコンバージョン率最適化の手法や必要性、LPOやEFOといった類似の概念の違いについて解説します。
コンバージョン最適化(CRO)とは?
CROとは「Conversion Rate Optimization」、つまりコンバージョン最適化のことを指します。Webマーケティングで使用される用語で、Webマーケティングにおける「コンバージョン」に至る割合を最適化する取り組みを指します。
基本的には問い合わせは多い方が良いのですが、必ずしもコンバージョン率を上げることを最適化とは呼びません。計画以上の問い合わせを発生させようとすると、広告効率の悪化、欠品・リソース不足などによる機会損失、それに伴うキャッシュフローの悪化といった事態も予想されます。
CROを実現するにあたっては、会社として必要なコンバージョン数や掛けられる予算を明確にしておくと適切にPDCAを回せます。
コンバージョン(CV)とは?
コンバージョン最適化の「コンバージョン」とは、Webマーケティングにおいて最終的に達成したい目標のことを指します。
「最終的に達成したい目標」を総称してコンバージョンと呼ぶので具体的に何を指すかは、その企業によって異なります。たとえば、商品の購入をコンバージョンと定義する会社もあれば、資料請求や来店予約、SNSへの登録をコンバージョンとしている場合もあります。さらに、資料請求をコンバージョン1、来店予約をコンバージョン2といったように複数の目標をコンバージョンとして管理しているケースも存在します。
まずは、自社における「コンバージョン」とは何かを定義することが重要です。
なぜCROに関心が集まっているか
昔からコンバージョン率を測定したり、最適化したりしようと取り組む企業は数多く存在していました。ただし、近年は特にCROに対して関心が集まっています。その背景には次の2つの事情が存在します。
Webマーケティングの競争激化
一般的に商圏という障壁が存在するリアルマーケティングと比較すると、Webマーケティングは競争が激化しやすい傾向があります。
Web広告は1リーチあたりの広告費用が安価でリアルの商圏よりも広い範囲から目的来店を狙える可能性があるだけではなく、通販に代表されるように全国商圏で商品・サービスを提供している企業がしのぎを削っているからです。よって、競争相手が多い分だけWebマーケティングの競争は激化します。
そのため無計画にWebマーケティングを実施していると、広告の費用対効果が見合わない、問い合わせが発生しないといった事態が発生しがちです。そのためCROを実施し、Webマーケティングの成果を管理することの重要度が高まっています。
全体最適を追求しなければならない
Webマーケティングの全体最適を追求しなければならないのも理由の1つです。Webマーケティングの手法は多様化しており、集客チャネルとしての重要度も増しているので、分業体制を取ることも多くなっています。
その結果、たとえばWeb広告運用担当はクリック単価とアクセス数、Webサイト編集担当はコンバージョン率をといったように部分最適を担当者ごとに追求しがちです。
こういった部分最適を脱却して全体最適のWebマーケティングを実現するためにCROが必要です。
CRO実施と指標
CROを実施するためにはコンバージョンレート(CVR)およびコンバージョン単価(CPA)の測定と分析が必要になります。この2つをはじめとしてCROを実施するために必要な指標について説明します。
CROを実現するための2つの要素
CROを実現するために必要な指標はCVRとCPAの2つです。CVRとはアクセスしたユーザーの何割がCVに至るのかを示す確率、CPAとは1件あたりのCVを獲得するためにかかったコストを表す指標です。
この2つの指標に加えて、測定すべきサブの指標としてインプレッションやクリック率といった概念が存在します。
CROはコンバージョンレート(CVR)の最適化なので、一見したところ測定するのはCVRだけでも良さそうですが、CPAも測定しなければ適切なコンバージョンレートは実現しません。
なぜCPAが重要なのか?
コンバージョン率(CVR)が高ければ良いとは限りません。
たとえばロングテールSEOによるアクセスアップと競合の激しいキーワードでのPPC広告を比較すると後者の方が一般的にコンバージョン率は高い傾向にあります。しかし、前者の方が集客コストは安いので、コンバージョン率が低くても会社の収益には貢献している可能性が高いと考えられます。
このように、Webマーケティングは会社の収益確保のために実施するものなので、一概にCVRが高ければ良いとは言えません。よって、CVRと並行して、そのコンバージョンのために要したコストについても分析する必要があります。
そして、CVRが高い集客チャネルであったとしても、不採算のチャネルであれば使用中止も検討しなければなりません。
CVR、CPAを構成する主要な指標
CVR、CPAはそれぞれ次の式で求められます。CVRやCPAの推移を分析しながら、問題発生の兆候があればこれらの指標をチェックしてください。
CVR=CV(コンバージョン)数÷クリック数
=CV数÷(インプレッション数(IMP)×クリック率(CTR))
CPA=広告費÷CV数
=インプレッション数(IMP)×クリック率(CTR)×広告クリック単価(CPC)÷(インプレッション数(IMP)×クリック率(CTR)×CVR)
=CPC÷CVR
インプレッション数(IMP)
インプレッション数とは、自社サイトに誘導するリンクや広告が何回程度ユーザーに閲覧されたかを示す指標です。もちろん、インプレッション数が多いほどWebサイトに到達するユーザーは増える傾向にあり、最終的なコンバージョン数も多くなる傾向にあります。
短期的にインプレッション数を増やす方法としてはWeb広告を使用すること、長期的な対策としてはSEO、SNSでのフォロワー集めといった施策が考えられます。
クリック率(CTR)
マクリック率とはインプレッションが発生した中で、自社のランディングページ(LP)へのリンクがクリックされ、LPに誘導できた割合のことを指します。
インプレッションからのクリック率を高めるためには、インプレッションとタイトルや広告文、ディスクリプション(検索結果に表示される紹介文)が検索ニーズと合致しているかをチェックして、必要に応じてこれらの要素を変えてください。
CPC(クリック単価)またはCPM(インプレッション単価)
CPCとCPMは有料広告を使って集客している場合にチェックすべき指標です。有料広告の課金形態には大きく分けて、クリック数に応じて課金されるパターン、インプレッション数に応じて課金されるパターンの2つが存在します。
一般的にクリック課金では1クリックあたりで値段が設定され、インプレッション課金では1,000回単位の広告表示で料金が設定されています。
CPCまたはCPMが高いけれどもコンバージョン率が高いのでコスパに優れた広告や、CPCまたはCPMは低いけれどもコンバージョン率も低いのでコスパが悪い広告も存在するので一概にCPCやCPMの高低だけでは善し悪しを判断できません。広告の効率の評価は、CPAを使用してください。
コンバージョン数
CROを実現するためにはCVR、CPAの管理が必要なのは説明した通りですが、これらの指標はいずれもコンバージョンを基準とした指標です。そのため、コンバージョン数もチェックすべき重要指標の1つです。
何を持ってコンバージョンとするか、それをどう測定するかが明確でないと、CRO達成の仕組み自体が崩壊してしまうので、この定義はしっかり行ってください。
CROの改善5つの施策
上記で紹介した指標をもとに最適なCVRに近づけるためにさまざまな手法を展開するのがCROです。CROに必要な手法は細かいことまで挙げれば数多く存在しますが、おおまかには次の5つの施策をベースにCROの実現に取り組むべきです。この5つの施策について説明します。
施策1:STPを見直す
STPとはマーケティングの基本的なフレームワークで、自社商品・サービスに適した顧客に適したメッセージを届けられているかを分析するために使用します。
-
S:Segmentation:市場や顧客のニーズを細分化する
-
T:Targeting:細分化した市場、顧客ニーズの中で自社が狙う層を決定する
-
P:Potisioning:決めた客層を開拓するための商品・サービスのポジションを決める
STPが不明瞭だったり、Webマーケティング手法と一致しなかったりする場合はCROが低下する傾向にあります。
たとえばSTPが不明瞭とは、あらゆるターゲットに届けようとして、結局誰向けの商品か判断できない状態で販促されていることを指します。Webマーケティング手法と一致しないケースとしては、高級感を訴求したい商品・サービスなのに安売りチラシで使われるような配色・デザインのランディングページを使用していたり、ミドルシニア向けの商品なのにモデルに10、20代を使用していたりといったケースが考えられます。
CROを実現するためには最も重要な施策なので、定期的にSTPが明確になっているか、狙ったターゲットに対して適したマーケティングが実施できているかは検討してください。
施策2:最適なCTAを用意する
CROを追求する際にSTPの次に重要な要素が最適化されたCTAを用意することです。CTAとはCall To ActionすなわちLPを閲覧しているユーザーが問い合わせをするためのボタンのことを指します。
問い合わせや申し込みフォームに誘導するためのCTAはどのような形が良いのかについてはさまざまな意見が存在しますが、絶対的な勝ちパターンは存在しません。CTAのメッセージ、ボタンの色、LPや誘導先との関連性といったさまざまな要素の影響を受けるからです。
Webマーケティングに力を入れている会社ではA/Bテストを繰り返して、自社の商品・サービスにとって適したCTAは何なのかを常に模索しています。とくにCTAクリック率が低い場合にCTAの見直しを実施してください。
CTAの有用性を測る指標として以下の指標が挙げられます。A/Bテストを繰り返しながら最適化を測ることが肝要です。
CTAクリック率
CTAクリック率とはLPに到達したユーザーがCTAをクリックして申し込みや購入フォームに到達する確率を指します。WebマーケティングにおいてCTAがクリックされるか否かは重要な指標で、CTAの内容や設置場所によってもCTAクリック率が変化します。
フォーム離脱・かご落ち率
CTAをクリックして問い合わせフォームや商品購入ページに到達しても、必要な情報を入力・送信せずに途中で離脱するユーザーも存在します。こういった離脱をフォーム離脱・かご落ち率と呼びます。
フォーム離脱・かご落ちが発生する理由は、途中で欲しくなくなるケースもありますが、手続きが煩わしいといったケースも存在します。こうしたフォーム入力や購入手続きの方法を見直してフォーム離脱・かご落ち率の低下を狙う施策も検討してください。
施策3:有料流入経路を精査する
自然検索や広告なしのSNSといった無料の集客手法でアクセスを集めているのであれば、気にする必要はありませんが、Web広告をはじめとする有料の集客チャネルを使用しているのであれば、流入経路(さらに細かく分析するなら広告の種類やキーワード毎)のCPAの分析も実施してください。
コンバージョン率が高くてもCPAが見合っていないチャネルは予算を絞るべきですし、コスパの良いチャネルにはさらに予算を投下すべきです。
最適なCVRとはCPAとのバランスによって決定するので重要なチェックポイントです。
施策4:ランディングページを最適化する(LPO)
インターネット上からアクセスを集めて、商品の購買や資料請求といったコンバージョンに繋げるためのWebページをランディングページ(LP)と呼びます。そしてCVRを最大化するためにLPのデザインや構成を最適化させる作業をLPOと呼びます。
LPにおいてコンバージョンに一番影響を与えるのはCTAですが、他の要素についても適宜STPに合致した訴求方法になっているかをチェックしたり、A/Bテストを実施したりして最適なデザインを模索する必要があります。
施策5:問い合わせフォームを最適化する(EFO)
CTAをクリックすると、問い合わせフォームや購入ページに飛ぶことが一般的です。そして、これらのWebページに誘導してもフォーム離脱、かご落ちが発生するケースも存在します。こうした離脱を防ぐのがEFO、すなわちエントリーフォーム最適化と呼ばれています。
EFOを実現するために手作業でWebページの見直しを行っても良いし、現代ではEFOツールと呼ばれるエントリーフォーム改善に特化したツールも存在するので、適宜こういったツールを使用してください。
CROを実現してWebマーケティングの効果を最大化する
以上のようにCROを実現するためにチェックするべき指標や施策のパターンについて紹介しました。近年はさまざまなツールが開発されているので、これらのツールを使いこなせれば根拠に基づいてCRO施策を展開できます。
本コンテンツで紹介したCROのための施策のなかでも特にCTAの見直しは重要で、臨機応変にCTAを変更して、A/Bテストを繰り返して最適なCTAを模索する必要があります。
CTAの管理、分析にはSales Bannerがおすすめです。30日間の無料トライアルができるのでぜひ活用してみてください。