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2024年8月4日

ABテストとは?効果的な進め方やABテストツールのご紹介

ABテストツール

ABテストとは主にWebマーケティングで実施される対照実験のことを指します。
他の条件は同一にして検証したい一部の要素だけが異なる2つのクリエイティブを用意、両者へのユーザーの反応を定量的に分析することにより、良いクリエイティブを見極め、Webサイトや広告などを最適化します。

本コンテンツでは、ABテストの手法やテストを実施する際のおすすめツールについて紹介します。

ABテストとは何か

ABテストとは主にWebマーケティングで活用されるWebサイトや広告の改善手法です。ほとんど同じだけれども特定の要素だけ違うクリエイティブAとBを用意し、実際にユーザーにそれを表示して反応が良いクリエイティブを採用、これを繰り返していくことにより定量的な根拠に基づきWebサイトや広告の改善ができます。結果として、クリック率、コンバージョン率の改善効果が期待できます。

「AB」テストとは名づけられていますが、テスト手法によっては3種類以上のクリエイティブをテストすることもあります。また、1要素の比較をするだけではなく複数要素の違いを一度にまとめてテストする多変量テストといった手法もあります。

ABテストを行う目的

ABテストを実施する目的は「成果に繋がる勝ちパターンを定量的な根拠に基づいて発見すること」にあります。何を持って勝ちパターンとするのか、定量的な根拠とは具体的に何を指すのかは個別のABテストによって異なります。

Webマーケティングの良いところは低コストで多数のユーザーにアプローチできること、その結果に関してシステムを通じて定量的に分析できることにあります。この特徴を利用して、より良いWebページ作成や広告の出稿方法を模索するのがABテストです。

通常、こういった作業はマーケティング担当者の経験や感覚といったものに依存し、成果の評価も曖昧になりがちですが、ABテストを実施することにより成果を厳格に評価し、担当者の経験や感覚に依存しないマーケティングが可能となります。

ABテストの種類

ABテストは何に関してテストをするかによって、大きく4つのパターンに分類可能です。それぞれのABテストのパターンについて紹介します。

同一URLの要素・見た目を切り替えるテスト

オーソドックスなABテストの手法が、「同一URLの要素・見た目を切り替えるテスト」です。CTAボタンの色だけを変えたり、バナーのキャッチコピーだけ何パターンかテストしたりしてみるといった方法が考えられます。

比較する要素が少ないシンプルなテストでソースコードを書き換える必要もないのでツールを使わずとも比較的容易にテストができます。

複数ページテスト

複数のWebページに渡って検討したい要素が存在するときに使用するABテストです。ページごとのパターンに加えて、リンク先も比較することもできます。ページ内での導線のテストに使用できますが、検証結果をわかりやすくするためにはテストの際に特定の導線以外に移動できないように制御する必要があります。

リダイレクトテスト

テスト対象のWebページにアクセスしたユーザーを別のページにリダイレクトさせて反応を測定・分析するタイプのABテストです。

リダイレクト先を別ページとして用意しなければならないため少し手間はかかります。

多変量テスト

同ページ内の複数要素を切り替え、組み合わせて最適なパターンを発見するために行われるABテストです。複数の要素を一度に検証するので通常のABテストよりも複雑になりますが、少ないサンプル数、期間でABテストが実施できるというメリットがあります。

ABテストの実施方法

ABテストを実施する際は次の5つのステップに基づいて作業を実施するべきです。それぞれのABテストのステップについて解説します。

テストの目的を決める

一番はじめに実施するべきはテストの目的を決めることです。意外とこの作業は軽視されがちですが、そもそもABテストの目的が決定しなければ、そこから検証する仮説、実験方法などが決定できません。

つまり、テストの目的を決めないABテストは、「ABテストを実施するためのABテスト」になりがちで、テストまで終了した結果、Webサイトや広告の改善などには至らないといったことになりがちです。

「SNS広告のランディングページを改善してコンバージョン率を〇〇%までアップしたい」「リスティング広告の広告文を改善してCPA▲▲円以下におさめたい」といったように目的を決めてください。

目的達成のための仮説を構築する

目的が決まれば、それを達成するための仮説を構築します。仮説構築は目的設定と並んでABテストの重要作業です。そもそも仮説を構築しないと、その仮説を証明するためのテスト方法が決定できませんし、とりあえずテストだけ実施しても最終的に何を改善すれば良いのか曖昧なまま終わってしまいます。

「〇〇にあるCTAボタンのクリック率は最も高くても良いので、その
CTAと同じくここの色味を△△に直せばクリック率がアップするはず」「バナーの位置が悪いので、〇〇の位置から△△の位置に変更してユーザーの反応をみよう」といったように、どうすればWebサイトや広告の効率が良くなるのか、そのためにはどういったテストが必要なのかを考えてください。

ABテストの計画・環境を整える

目的設定・仮説構築が完了すれば、その仮説を証明するためのABテストの方法を検証しなければなりません。

テストの方法は前述のとおり大きく分けて、「同一URLの要素・見た目を切り替えるテスト」「複数ページテスト」「リダイレクトテスト」「多変量テスト」に分類できるので、これらのテストをベースに、どの程度の期間、目標のサンプル数、クリエイティブの違い、測定方法などを具体的に決定します。

予算をかけないのであればGoogleアナリティクスを使ってのテストも可能ですが、効率的にABテストを実施するために専用のABテストツールを使用する場合もあります。具体的なABテストツールの例については後述します。

テストを実施、データを取得する

テスト計画・環境が構築できればテストを実施して、データを収集します。データは基本的に広告ツールやWeb解析ツールが収集、蓄積してくれるので後からそれをチェックすれば事足ります。

テストを実施する際に気をつけるべきは、きちんと対照実験となるように運用に配慮することです。たとえば、クリエイティブAが出稿されている時間帯は夜中、Bは昼間であれば時間帯別のユーザー行動に微妙に違いが存在すると考えられるので一概に比較できません。またAは自然検索経由、Bは広告経由でユーザーを集めた場合も一概に比較できません。

完璧に対照的な実験環境を構築するのは不可能なので、程度の差はありますが実験の精度を高めるためにもABテストは対照実験であることを意識しながらテストを実施、データを取得してください。

データをもとにWebサイトを改善する

データが十分に取得できれば、そのデータから得られた結論をもとにWebサイトの改善を行います。基本的にはABテストなので、A、Bどちらのクリエイティブや設定を採用するのが良いのかという結論になります。

また、ABテストは1回行って終了ではありません。一つのABテストで仮説検証、改善が終了すると、自然とまた次の仮説、改善案が浮かんできて次のABテストになります。1回分のABテストでは大した改善にはつながらないかもしれませんが、ABテストを繰り返し、細かな改善を繰り返すことによって、複利的に効果は表れます。

Webサイトを改善した後は、またはじめのステップに戻って次のABテストを実施してください。

ABテストに使えるおすすめツール

ABテストを実施する際はABテストツールを使うと効率的にテストが実施できます。おすすめのABテストツールを5種類紹介します。

DLPO

DLPO

一般的なABテストに加えて、多変量テスト、パーソナライズ機能、AIパーソナライズ機能も搭載されているABテスト機能を持ったLPO(ランディングページ最適化)ツールです。

7万件以上のテスト実績があり、800社以上が同ツールを導入しています。ABテストだけではなくCDPやDMPと連携してパーソナライズしたコンテンツ提供が可能なので、One to Oneマーケティングの実践に活用できます。

Webサイトだけではなく、ネイティブアプリのABテストにも対応可能です。

Optimizely

Optimizely

世界で6,000社以上が導入している人気のABテストツールです。一度テスト用のタグを設定すれば、その後のテストや最適化の作業はすべてブラウザ上から実施できるので、エンジニアに依存せずともマーケティング部門だけで大半の工程を実施できます。

また、Googleアナリティクスをはじめとするアクセス解析ツールと連携可能で、Optimizely自体でも細かくターゲティング設定ができ、独自の統計エンジンを使った細かい結果分析も可能です。

SiTest

SiTest

LPOツールの一種でABテスト機能も搭載しています。コンバージョン率を向上させるための機能が豊富に搭載されており、ABテストに限らず、ヒートマップ、スクロール解析、パーソナライズ、EFO、ポップアップ機能などランディングページを活用したマーケティングに必要な機能は一通り搭載されています。

さまざまな業界の70万サイト以上への導入実績があるツールです。

Juicer

Juicer

ABテストをはじめとして、NPS、リードスコアリング、ペルソナ分析といった10種類の機能が無料で使用できるDMPです。有料のデータ活用オプションに課金すると、ABテストの結果レポートダウンロード機能が使用できます。

ABテストの中でもリダイレクトテストや多変量テストなどいくつかのテストタイプには対応していないので、とりあえず簡単なABテストを安価に実施したいといったユーザー向けのツールです。

Sprocket

Sprocket

Webサイト最適化ツールとマーケティングコンサルティングを組み合わせたサービスです。ツールとしては、ABテストをはじめとして、ユーザーの行動データ計測、分析、ポップアップなどオーソドックスな機能が一通り搭載されています。

有意差が出る前の目安日数が表示されるのでテスト終了の時期を間違うことはありませんし、コンサルティングサービスもあるのでABテスト・マーケティングに関するノウハウの少ない企業でも活用できます。

ABテストを実施する際の注意点

ABテストを実施する際の注意点は大きく分けて「テストのためのテストにしない」「テストの精度が担保されているかを確認する」の2つです。それぞれの点に関してなぜ注意しなければならないのかを解説します。

テストのためのテストにしない

マーケティングにおいては「とりあえず〇〇という手法が流行しているので試してみる」といった理由で新しいテクニックが導入されることがあります。ただし、このような理由での導入は少なくともABテストでは行うべきではありません。

とりあえずABテストを実施しただけでは、Webサイトや広告の改善につながらない、無意味なテストになることも多いからです。ABテストを実施するための前提として、テストの目的と仮説構築が必要なのです。

目的と仮説から行うべきABテストの手法が決定されるので、ABテストのためのテストではなく、目的・仮説からスタートしてください。

テストの精度が担保されているかを確認する

テストの精度が担保されているかについても細心の注意を払う必要があります。特にサンプルが少ない場合はクリエイティブA、Bの成果に差が出ても、偶然の差の可能性が高く、調査に意味が見いだせないケースも考えられます。

偶然による誤差の範囲を超え、一定の信頼性が担保されている差のことを「有意差」と呼びます。ABテストでは、有意差がある状態でなければ結論を下せません。

具体的な判定方法や必要サンプル数はA,B2つの指標、信頼水準などの設定によっても異なりますので、テストの内容に応じて必要なサンプル数を算定すべきです。

ABテストで効率的なWebマーケティングを

ABテストは定量的な根拠に基づいてWebサイトや広告設定の改善を行えるマーケティング手法です。一定のサンプル数が確保できるのであればデータを測定できるWebマーケティングで普遍的に通用するテクニックで、マーケターとしての経験や感性といった不確定な要素に依存せずにマーケティング改善が可能です。

ただし、テストのためのテストでは効果を発揮しないので、目的、仮説を構築したうえでABテストを実施してください。