2025年1月14日
CPAの評価の仕方 | 高すぎ?広告予算の設定方法
Webマーケティングを実施する際の最重要指標がコンバージョン単価(CPA)です。CPAとは資料請求・問い合わせなどの目標を1件獲得するのに何円必要なのかを示す指標です。
Webマーケティングは競争が激しく、CPAは高騰しがちなので、きちんと収益が出るようにCPAをコントロールしつつ、目標の売り上げを達成できるように広告を使いこなさないといけません。コンバージョン単価(CPA)の計算方法や評価の仕方、広告予算の設定方法について説明します。
コンバージョン単価(CPA)の算出方法
コンバージョン単価(CPA)とは、Cost Per Actionの略称で1件のコンバージョン(アクション)を促すために必要な費用のことを指します。コンバージョンは問い合わせフォームへの入力や、商品の購入や、イベントへの参加申し込みなど各企業によって異なります。
CPAは一般的に次の費用で算出できます。
コンバージョン単価(CPA)=広告費用÷コンバージョン数
たとえば広告費用を50,000円使ってコンバージョンを5件獲得できた場合のCPAは、50,000円÷5件=10,000円/件となります。
とくにWebマーケティングの場合は、SNSや自然検索、有料広告などチャネル別にCPA、さらに分析ツールを使って詳しく使えばどの検索キーワード、どの経由でコンバージョンが発生しているかまで分析できるので、詳細なCPA分析が可能です。
ちなみにコンバージョンのアクションは必ずしも1種類である必要はなく、資料請求、商品購入など複数のアクションをコンバージョンと定義することもあります。
CPAのコントロールの重要性
とくにWebマーケティングではCPAのコントロールが重要だといわれます。というのも商圏という物理的な制約が存在するオフラインマーケティングと比較すると、Webマーケティングではインターネット全体が商圏となるので競争が激化しやすい傾向にあります。
CPAをコントロールせずに目標売上ばかり追いかけていると、広告費が重荷になり、目標売上は達成したけれども収益は悪化してしまうといったことがしばしば発生します。
CPAの測定自体はそれほど難しいテクニックではありません。コンバージョン数と広告費用さえ把握すれば割り算をするだけで算出できます。手間もかからないので定期的に測定するべきです。
適正コンバージョン単価(CPA)の目標設定方法
コンバージョン単価(CPA)の測定自体は簡単ですが、適正なCPAの目標設定方法については業種・商材などのパターンによって異なり、工夫が必要です。典型的なCPAの目標設定方法を4つ紹介します。
パターン1:過去のCPAをもとに目標を設定する
すでに広告運用をしていてCPAの推移が記録されている、目標注文件数、売上を達成しているサービス・商材を扱っている場合は過去のCPAをもとに目標を設定するべきです。
というのも、すでに一定のシェアを獲得していて、収益を上げている場合は、「マーケット自体を広げる」、「売上を獲得するのに必要な費用のコストパフォーマンスを良くして収益を高める」のいずれかの戦略をとるのがセオリーです。
前者の「マーケット自体を広げる」施策についてはプロモーション、認知度向上に広告予算を振らないといけないので、コンバージョンをベースに施策を評価しにくく、別の指標を用いるべきでしょう。
後者の「売上を獲得するのに必要な費用のコストパフォーマンスを良くして収益を高める」場合は、CPAを基準にマーケティング戦略を検討するのが適切です。たとえば、コンバージョン数は増やさなくても良いのでコスパの悪い集客チャネルのカットをする、効率の良いチャネルを開拓してCPAを下げていこうと目標を設定すべきです。
パターン2:客単価を基準にした限界CPAをもとに目標を設定する
目標CPAの設定方法としては最もオーソドックスです。広告を使った競争が存在して、広告による集客が売上確保に必要なケースでは「客単価を基準にした限界CPA」をもとに目標CPAを設定します。
限界CPAは次の式で求められます。
限界CPA=客単価×平均粗利率
たとえば、客単価8,000円で粗利率30%の商品販売をしている場合は8,000円×30%=2,400円と計算できます。仮にこのときにCPAが3,000円だった場合、この企業は1件の注文を獲得すると8,000円売上がアップするけど、粗利が2,400円、CPAが3,000円なので1件あたり600円損をすることになります。
つまり限界CPAとは、これ以上CPAを掛けると売れば売るほど赤字になる広告金額のことを指します。そのため普通は限界CPAを目標にしないのが一般的です。通常は以下の式で目標CPAを設定します。
目標CPA=限界CPA×目標広告費率
たとえば、先ほどの事例で粗利の3割位までは広告費として許容できると考えているのであれば、2,400円×30%=720円が目標CPAになります。
目標広告費率の算出方法は企業によって異なりますが、前年度の実績や数値計画をもとに設定するのが一般的です。
パターン3:LTVを基準にした限界CPAをもとに目標を設定する
とても競争が激しい業界の場合、客単価を基準にしたCPAでは広告合戦に敗れるので、「LTVを基準にした限界CPA」をもとに目標を設定するパターンも存在します。
たとえば、健康食品や化粧品といったリピートを前提とした通販では初回申し込みの限界CPAよりも実際に使っているCPAの方が高いといった事態がしばしば発生します。
これは1回目の注文で利益が出なかったとしても、2回、3回とリピートされることを前提にして、そこから得られるだろう粗利をもとにCPAを決定しているからです。
このように、1回の注文ではなくリピートを含めて1件の顧客がトータルでもたらしてくれる売上のことをLTV(ライフタイムバリュー)と呼びます。
LTVを基準にした限界CPAは次の式で算出できます。
限界CPA=LTV×平均粗利率
そして、もちろん限界CPAまで広告費用を使うと収益が発生しないので、目標CPAは次の式で算出します。
目標CPA=限界CPA×目標広告費率
もちろん、目標広告費率は客単価を基準にした目標CPAのときと同様に、前年度の実績や数値計画などをもとに設定します。
パターン4:相場を元に目標を設定する
たとえば新規事業なので過去のCPAの実績が存在しない、目標広告費率も設定できないといった場合は相場を元に目標CPAを設定する場合もあります。
「〇〇業界で1件の注文を獲得する際の相場は〇〇円」といったようにCPAの相場は存在します。どうしても算出できないのであればこういった相場をもとに目標CPAを算出するのも良い方法です。
相場のCPAについてはWeb広告の代理店を利用する際に教えて貰えることもありますし、検索連動型広告のクリック単価と予想コンバージョン率から大雑把に算出することも可能です。
たとえば、クリック単価50円でコンバージョン率1%程度存在しそうな広告の場合は50円÷1%=5,000円がCPAと予想できます。ただし、これは予想される相場であって、実際に広告を出稿すると大きく乖離する場合が多々あります。
コンバージョン単価(CPA)に関する注意点
このようにWebマーケティングの収益をコントロールする際の指標として重要なコンバージョン単価(CPA)ですが、利用にあたっては次の5つの点に注意してください。
認知度アップのマーケティングの評価には適さない
CPAは認知度アップを目的としたマーケティング施策を評価する際には適しません。認知度アップを狙うのであればWebサイトへのアクセス数やSNSのエンゲージメントで評価すべきです。
認知度がアップしてから実際に商品が購入されるまでには時間がかかるのでCPAでは成果を測定するのは困難です。
型番商品や既に市場が存在している商品のマーケティンぎはCPAで成果を計測できますが、まだ市場が存在していない商品、少し費用をかけてもこれから成長させたいブランドは他のKPIでも計測してください。
CPAにも季節指数は存在する
売上に季節指数が存在するようにCPAにも季節指数が存在します。
たとえば、母の日のプレゼントは4月、5月頃に基本的に購入する季節商品です。仮に10月に母の日というキーワード経由でユーザーが流入したとしても、おそらくコンバージョンには至らないはずです。そのため、母の日のプレゼントのCPAは春先から5月位までが一番コスパが良いと考えられます。逆に引っ越しのように年間を通じて需要があるサービスは3月の繁忙期に競合の広告出稿も集中して閑散期よりもCPAが悪化するといったケースも考えられます。
季節指数の存在する商品の場合、毎月のCPAを単純比較するだけではなく季節指数も考慮して善し悪しを判断してください。
CPAは低ければ良いというものではない
CPAは下げることを目標にするのではなく、目標CPAに近づけつつコンバージョンを最大化するのを目標とすべきです。一般的にCPAをあげるとコンバージョン数は増え、下げると減るので、最適なバランスを考えなければなりません。
たとえば1件当たりの粗利額3,000円のコンバージョンを、①CPA1,000円だと10件、②CPA1,200円だと12件獲得できるケースを想定します。
その場合、各シチュエーションで得られる収益は
① (3,000円―1,000円)×10件=20,000円
② (3,000円―1,200円)×12件=21,600円
となりCPA1,200円をかけた方が収益は高くなります。このように収益を最大化するCPAを目標にすべきです。
CPAを下げるためには商品・サービスの見直しも大事
CPAを下げるためには商品・サービスの見直しも大切です。例えば、メーカーから仕入れられる型番商品の場合、インターネットでは価格を簡単に調べられるので、コンバージョン率に価格が大きな影響を与えます。
つまり、安く仕入れられた場合はあえて値段を下げれば、CPAも一緒に下げられる可能性があるということです。この他にも商品・サービスに顧客が感じる価値と価格のバランスが悪ければ、それがCPAの高い原因になっていることもあります。
商品・サービスについても、競合と比較して優位性を持っているか、納得感のある値付けになっているかも検討してください。
CVRとくにCTA周りの工夫が必要
CPAは低い方が良いと一概にはいえませんが、同じコンバージョン数を獲得するのであればCPAは低ければ低い方が良いです。
そして同じコンバージョン数を獲得しつつ、CPAを下げるのであればCVRを上げることが有力な施策です。そのためには、ランディングページの改善、とくにCTA周りの工夫が必要です。
CTA周りの改善にはA/Bテストや柔軟にCTAを切り替えられる体制作りが必要です。近年はLPツールやアクセス解析をはじめとしてコンバージョン率を改善するツールが充実しているので必要に応じてこれらを活用してください。
コンバージョン単価(CPA)を適切に評価、広告予算を設定する
以上のようにコンバージョン単価の計算方法や目標の設定の仕方について説明しました。CPAは必ずしも低い方が良いわけではなく、収益を最大化できる適切なCPAを目標とすべきです。
ただし、同じコンバージョン数であればCPAは下げた方が良いです。CPAを下げるためにはランディングページの改善が必要ですが、とくにCTA周りの改善が効果に繋がりやすい傾向があります。
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